古来よりフィンランドに暮らすサーメ人が常に腰に下げて身に着けているナイフをPuukkoといいますが、フィンランド人にとっては魂といえるほど思い入れのある道具であるといわれます。 芸術的な素晴らしいPuukkoナイフを製作しているアーティストも多く、マーケットでも実にたくさんのPuukkoを見つけることができます。 何人かの工業デザイナーもやはりPuukkoを手掛けており、Tapio Wirkkalaの作品はニューヨーク近代美術館(MoMA)に永久展示されるなど世界的な評価を受けています。このアザラシの形をしたPuukkoもまたデザイナーであるBertel Gardbergによってデザインされたものです。Bertel Gardbergは日本ではあまり知られていませんが、フィンランドでは「銀細工の父」と呼ばれるほどの巨匠で、ジュエリーを中心に素晴らしい作品を数多く残しています。実用品のデザインも多く手掛けていて、現在も続くカトラリー「LION」など名作揃いです。日本刀は武士の魂といわれますが、Puukkoナイフを手にするときにいつも感じる気持ちの奥底に深く沈み込んでくるような静かな緊張感は、道具に敬意を払う共通の習慣を持つ民族の血がPuukkoに宿るサーメ人の精神に反応しているのかもしれません。